
CD Info
1st CD 音ノ辞書 | Dictionary of Sounds

作曲者による楽曲解説 Programme notes
かしわ丸餅 - Kasiwa-marumochi
01. 片時雨 – Sun Shower
その名の通り雨と晴れとの対比をイメージしており、冷たくしとしとと降ったり、雨をもの思いにふけりながらぼんやりと眺めたり、陽が差して暖かくまどろんだりといった情景を表現しております。また、一番最後のピアノのファのオクターブは水たまりに雫が落ち波紋が広がる様子をイメージしております。
02. 八重桜 – Double Cherry Blossoms
縁側から眺める桜の木をイメージして作りました。長きに渡り同じ場所で四季の移ろいを共にし、古き良き時代を感じる一樹とそれを彩る人々や景色といったところです。コードの変化で見守ってきたものの歴史を表現しました。
最後のピアノの駆け上がりは桜が散る様子、鳥が飛び立つ様子をイメージしております。
03. あの日の小径 – A Walk to Remember
あじさいの花をイメージした曲で、花そのものから転じてあじさいが両サイドに咲く小道とそこでの思い出をテーマにしました。雨の日にあった切ないできごと、時々見える晴れ間が軸になっていて、代わる代わる顔を出すイメージです。
サビ直前の一拍ごとのコードチェンジは思い出が場面ごとに蘇る様子、サビはこれでもかと言わんばかりの分かりやすいメロディで、こみ上げてくる感情があふれる様子を表現しております。
04. その声の先に– A Voice from Above
以前京都の竹林に訪れた際1小節目の和音が頭の中で鳴り、それを膨らませてできた曲です。
竹林に迷い込んで途方に暮れていたとき、何者かが自分を呼ぶ声が聞こえ、好奇心をくすぐられつつ彷徨うイメージです。時々7拍子が顔を出すことによって目印を頼りにしたつもりが同じところに出てきてしまった、石段の段数が上りと下りで違う、などといった勘違いか、はたまたまやかしかといった不思議感を演出しております。
05. 夏の終わり- The End of Summer
メインのメロディは当初何気なく浮かんだもので、全体のイメージは後から付けた曲です。その名の通り夏の終わりの海辺に佇み、少しの肌寒さを感じながら淡い思い出を振り返る様子を思い浮かべました。イントロとサビで同じメロディが出てきますが、形や背景を変えることで心情の変化を演出しています。
2分ほどの短い曲ですが、なかなかドラマチックにできたかと思います。エンディングのピアノのフレーズはお気に入りです。
06. 秋晴れ- Fine Autumn Day
どちらかというと秋の空よりも紅葉の広がる景色のイメージが強く、秋特有の肌寒さ、暖かさと侘び寂びを表現しました。拙作の中ではかなり初期のもので、年々手直しを重ねた思い入れの強い曲でもあります。前半は切なげですが、曲が進むにつれ徐々に暖かみを増しほんわかした雰囲気になっていきます。
木々の色めきやゆったりとした移ろいを感じていただければ幸いです。
07. 霜と月 (委嘱作品) – Frost and Moon
題名からまず想像したのが霜でいっぱいの木々が月明かりに照らされている景色でした。雪は降っておらず、冷たく時々表情を変えながら月が見下ろしているといった感じです。中間部は月を見上げながら徐々に自分の中の何かと共鳴し高まっていくイメージです。後半のサビは混じり気のあまりないイ短調に変えて、月の光をはっきりと映してみました。
メインの部分は4拍子ではイメージと合わないと感じ、思い切って3拍子にしてみたのですが、思いの外違和感がなく気に入っております。
08. 冬紅葉- Maple Leaves in the Winter
この度のアルバムリリースのきっかけとなった曲です。 冬をテーマにということで特に深く考えず作ったのですが、投稿の直後からとても多くの方に好評いただき一気に拙作の中で代表曲と呼べるものになりました。実は全体のイメージは後付けで、メロディを元にタイトルを考えてから膨らませたものです。
雪がしんしんと降る中雪原を歩き、辺りを見渡すと残る紅葉の葉を時折吹く風が揺らす光景が浮かびました。
2nd CD 音ノ雨 | Rain of Sounds

作曲者による楽曲解説 Programme notes
水谷健太郎 - Kentaro Mizutani
01. 雨空散歩 Rainy Promnade
この曲集のメインテーマとなる曲です。雨は降っているけれども、水たまりを敢えて踏みしめながらスキップで出掛ける、そんな遊び心を詰め込みました。童謡「 あめふり」のフレーズがこの曲中には幾度と出てきますが、ぜひ童心を思い出しながら聴いて欲しい一曲です。
02. 君と絹傘 Silk Umbrella
ある雨の日、⻘年が女性に絹傘を貸してもらいます。⻘年は女性に一目惚れしてしまいますが、その女性はもう去ってしまいました。「 君」と の一瞬の美し い思い出、「 君」への切ない思い、⻘年の感情は次第に膨れ上がり ますが、この思いが女性に届くことはありません。最後に手元に残ったのは「 君」の絹傘だけ。そんな淡い初恋の物語を曲にしてみました。
03. 五月雨のワルツ Waltz of Early Summer Rain
五月雨: 梅雨に降る⻑雨のこと。雨が続くと少し憂鬱になりがち。そんな気持ちを吹き飛ばすために生まれた、可愛らしいワルツの曲です。実は五月雨から連想して、五月病もイメージしています。中間部では沈む気持ちと 悩み動く 心情を表し、それでもそれを振り 払うかのような流れで明るい主題へと戻ってきます。この曲で誰かの憂鬱さを明るさに変えられたら嬉しいです。
04. 小夜時雨 Night Mist
舞台はとある古⺠家。月明かりが照らす中、降り始めた小夜時雨。縁側に座り庭を眺めながら、ぼーっと物思いに耽ります。
瓦屋根にしとしとと降りつける雨の音を聴きながら、次第に深い精神世界へと沈み込んでいきます。ただぼーっと 過ぎ去っていく 曲調を、ぼーっと聴いてみてください。
05. 夕立 Sudden Evening Shower
突然降り出す夕立。ひたすら降りつける雨のしつこさを、一曲を通して同一のテーマを繰り返し、畳み掛けることで表現しました。中間部分ではサックスパート に雷鳴や稲光のフレーズを入れています。ぜひ探してみてく ださい。雨の激しい一面を表現する、この曲集の中では異色の曲です。
06. 虹のソナタ Rainbow Sonata
雨が降ればやがて止みます。そして時には虹が現れます。その虹の美しさ、雄大さを表現しました。また、よく「 虹の橋を渡る」と表現されるように、天に近い虹にはしばしば神秘的な象徴性が付加されます。曲の中間部では虹の橋を渡り 、その後、天上の世界に辿り 着く 描写をしました。そしてピアニッシモで主題が再現され、最後には壮大なフィナーレで曲が閉じられます。
3rd CD 音ノ銀河 | Galaxy of Sounds

作曲者による楽曲解説 Programme notes
辻本純佳 - Sumika Tsujimoto
1. 流星群前夜 – Dusk before Meteors swarm
この曲は2019年の「音ノ辞書発売記念コンサート」で初演していたのですが、その時はまだ未完成で、インプロビゼーションの部分のみでした。この時に即興で演奏したメロディをそのままテーマとして譜面に起こし、そこに前奏部を組み合わせて、今回の完全版が出来上がりました。前半の部分は、確か2019年あたりに「雲と月」という仮名でテーマを作り、結局演奏せずに放置していたものを使用しました。循環呼吸を使ったサクソフォンとピアノの掛け合いから始まるのですが、掴み所のないフワフワとした雲の世界から、中間部に向かって徐々に大気圏を抜け、ついには無重力になり真空の暗闇からインプロビゼーションが始まる・・・といったイメージです。クラシカルでメロディックな部分、循環呼吸・bisbigliandoといった現代的な奏法、特殊なアンブッシュアを使って音を歪ませたりと、この一曲の中でソプラノサクソフォンの様々な音色の移り変わりを楽しんでもらえるようにと演奏しました。今までのCDシリーズとは少し違った、神秘的な雰囲気で物語が幕を開けます。
2.月夜に霞む – Hazy Moonlight
3曲のうちの1曲は「月」をイメージして作りたいと思っていたので、少し霞みがかった月を思い浮かべながら作曲しました。音数の多いインパクトのある1曲目から、すこし気持ちを落ち着けて聴いてもらえるような温かく心地良い雰囲気にしています。この曲は、1枚目のCD「音ノ辞書」のかしわ丸餅さんの楽曲の影響を受けていて、メロディラインがずっと頭に残ってつい口ずさんでしまうような曲を目指して創作しました。遠くて触れられないけれど、いつの時代もずっと私たちの夜をほのかに照らし続ける「月」という存在を、この楽曲を通して感じていただければと思います。
3.彗星のダンス – Ballet of Comets
「作曲をはじめるぞ!」と思い立って、初日にできた曲がこの「彗星のダンス」でした。彗星たちが意志を持ち、夜空をいっぱいに使って踊り駆け巡るイメージをもとに、頭の中にあった「エモい進行」「かっこいいメロディライン」「シビれる低音部」をうわーーーーっと書き殴った結果、変拍子がマシマシの前半のテーマが誕生しました。この曲のテーマは2枚目のCD「音ノ雨」の水谷健太郎さんの楽曲の影響を受けていて、変拍子の中でくるくると和音が入り乱れ、聴き入っているうちに気づけば曲が終わっていた・・・という曲になれば良いなと思いながら作曲しました。好きな音をたくさん詰め込みすぎて、「もう後にも先にもこんな曲は生み出せない・・・」と、作り終わった後は全てを絞り出してもぬけの殻になってしまいましたが、音野スミカの最初の作品であり、自分の大好きを詰め込んだ自信作でもある、今回のアルバムのメインとなる曲です。
元々中間部はテーマのみのシンプルなものでしたが、旭井さんのアレンジでとっても豪華な仕上がりとなりました。中間部のほぼ全ては旭井さんがオリジナルの創作を凝らしてくださったもので、全曲に渡って原曲の良さが何倍にも引き出されていると感じました。大切な曲達をここまでの大曲に仕上げてくださった旭井さんに、改めて感謝いたします。
作曲者による楽曲解説 Programme notes
小倉大志 - Taishi Ogura
組曲「星を掴みに出掛けた音楽家たち」- Harvest of Stars Suite
4.旅立ちの夜 – Prelude to Departure
5.St. Patrick’s Day – Emerald Planet
6.新しい街 – Cosmic City
7.古(いにしえ)の星 – Ancient Sphere
8.星降る丘 – Starry Hill
2016年にアイルランドを旅したときのイメージをもとに作曲しました。5つの楽章からなる組曲で、初演はパリ郊外の音楽祭で行いました。オリジナルの編成は弦楽器五重奏+ピアノ+ソプラノサクソフォンですが、様々な編成で沢山の人に演奏していただいてる作品です。2020年に作曲家で友人でもある旭井翔一さんにアレンジを依頼し、サクソフォン(フルート)とピアノのための今回のアレンジが完成しました。全楽章をソプラノサクソフォンとピアノで演奏した録音は、今回のCD「音ノ銀河」が初めてです。それぞれの楽章はまるで小説のようにストーリーを感じられる題名がついていますが、すでにある物語に音楽をつけるのではなく、逆にこの音楽を聴く人の中に、それぞれの物語が生まれてほしいと願っています。
4th CD 音旅コフレ | Box of a Musical Journey
準備中
5th CD 風紡ぐ音の色 | Shimmering colours floating on the breeze

Programme notes in English
※日本語の楽曲解説はCDブックレットに掲載
1."Miyabi" on a theme of Etenraku (Gagaku) / Sumika Tsujimoto
I composed this work based on a theme from “Etenraku in Hyogo,” a piece of music from Gagaku, said to be the world’s oldest orchestra, as a fusion of Western saxophones with Gagaku wind instruments. The piece begins with the coarse and frank sound of the hichiriki, a reed instrument like the saxophone, and as the piece progresses to the cadenza, it is interwoven with a deep vibrato like the shakuhachi, a traditional Japanese woodwind instrument which is not used in Gagaku. Near the end of the piece, high-pitched tones in the image of a ryuteki sing and dance over powerful piano chords and rhythms. This composition explores a new possibility of expression blending Japanese and western styles.
2.Oriental Wind / Joe Hisaishi
The piece opens with a piano solo, and overlaps with a saxophone melody and marimba that spins an orchestral sound. In Japan, this song has been widely popularized as a commercial song, and various arrangements of it exist. In the score of “Melodyphony,” the original score for this arrangement, the middle section has an alto saxophone solo, which is used from the beginning of the piece until the end of this solo, and in the later half it is switched to soprano saxophone.
3.Energy Flow / Ryuichi Sakamoto
This is another hit commercial song from the late 90’s, a masterpiece of Ryuichi Sakamoto. In 2019 while I was in Paris, I heard a solo performance of this piece at the “Atelier des Lumières”, and was inspired by this experience to create this CD. Two instruments flutter between deep dives of chords and swells of melody.
4.Strolling in the spring breeze - Homeward bound / Kentaro Mizutani
As the name of the song title suggests, “Strolling in the spring breeze” was created in the image of taking a walk in the fresh spring breeze. I hope the uplifting atmosphere makes you want to skip along.
“Homeward bound” is based on the image of going home during the sunset. The soprano saxophone and marimba give it a more peaceful feeling. Personally, the main phrase of this piece is one of my favorites among the works I have written.
5.Summer / Joe Hisaishi
This is the main theme of the movie “Kikujiro,” directed by Takeshi Kitano and released in 1999. Just from the phrase in the piano solo at the beginning, one feels as though they can hear the cicadas coming from somewhere. I arranged the piano solo score as a version for piano and saxophone for this piece. Please enjoy this ensemble which chases after a clear blue summer sky.
6.Dancing into the Wind / Daiki Kato
The original of this piece was composed for the “Tacticart label’s online music festival in 2021” organized by Tacticart Inc. At the time it was difficult to invite friends over for dinner due to the pandemic. I composed this piece to accompany that small feeling of loneliness in our daily lives. Originally the title was undecided when first performed, but when I asked listeners to suggest a title, and many of them suggested “wind” or “breeze,” so the title “Dancing into the Wind” was chosen.
7.Fu-Mon (Wind Ripple) original version / Hiroshi Hoshina
This piece was titled after the introduction, which gives an impression of waves lapping and returning, reminiscent of wind ripples left on a sandy beach. It was commissioned in 1986 by the All Japan Band Association as one of the Required Piece of All Japan Band Competition. In 1999 the complete version was revised, and released as the “original version,” as presented in this recording. The piece was written for brass band, but please pay attention to how the waves of three instruments form the pattern of the work in Mr. Kato’s arrangement.
6th CD Saxo-Famille |サクソファミーユ
準備中

2025年、スタジオジブリ音楽のカバーCD制作決定!
秋頃のリリースに向けて、2025年春頃にクラウドファンディングを実施予定です。もし興味を持っていただけましたら、ご協力の程、何卒よろしくお願いいたします。